中学地理「人口問題」についてまとめています。富士山型からつぼ型へ変化し、今後、日本の人口は減り続けていきます。そのことについての問題点や変化などをまとめています。それでは、中学地理「日本の少子高齢・過密過疎問題と人口変化」です。
日本の人口の変化
日本の人口は、約1億2700万人(2015年)である。 第二次世界大戦後に増加を続け、1960年代後半に1億人を突破した。しかし、出生率は年々低下しており、2005年には、初めて前年に比べて人口が減少した。今後も人口の減少傾向が続くと予測されている。
年齢別の人口構成をみると 戦後 多産多死型から多産少死型、さらに少産少死型に移行するにつれて人口ピラミッドは富士山型→つりがね型→つぼ型へと変化してきた。
少子高齢社会
出生率の低下と平均寿命ののびによる高齢化が著しい。日本は、第二次世界大戦後、保健・医療の発達、栄養状 態の改善とともに平均寿命がのび続け、現在は、女性は 86.61歳。男性は80.21歳(2013年)と、世界で最も高い水準にある。それとともに、人口の高齢化が進み、65歳以上の高齢者の割合は、1994年には高齢社会の基準となる14%をこえ、2014年には26%に達した。
この高齢化率は世界の中で最も高い水準であり、日本は世界に例をみないスピード で高齢社会に突入した。今後も、高齢化はますます進行していくと予測されている。
高齢化の原因
高齢化の原因の1つとして、出生率の低下があげられる。1人の女性が一生の間に産む子どもの平均数(合計特殊出生率)は、1970年には2.13人だったが、2013年には1.43人になった。その背景としては、晩婚化・未婚化のほかに、育児と仕事の両立の難しさや教育に多額の費用がかかることなどがあげられる。このような少子高齢化にともない、高齢者の年金や医療などの社会保障費の増大が大きな問題になっている。また、少子化対策として、地域や職場での子育て環境の充実なども求められている。
過密と過疎の問題
東京や大阪など大都市での過密と農山村での過疎が問題。日本は平野が少な、人口分布のかたよりが大きい。人口が集中している地域は、南関東から北九州にかけての大平洋ベルトである。なかでも、東京大都市圏・大阪大都市圏・名古屋大都市圏の三大都市圏(都心から50kmの範囲)には、全人口の46%以上が集中している(2014年)。
大都市問題
このような過密により大都市では、大気汚染などの公害、ごみ処理の間題など、生活環境が悪化する都市問題が深刻である。
過疎問題
農山村では、人口の急激な減少により、地域社会の基盤がくずれ、生活や生産機能の維持が困難になっている地域がみられる。このような地域を過疎地域という。 なかには、65歳以上の人口が半数以上をしめる限界集落とよばれる地域もあり、高齢化が進行している。過疎地域で は、1999年からの「平成の大合併」により、財政の負担を減らすため、多くの市町村が合併したが、課題は多い。
世界の人口の変化
世界の人口は70億人をこえ(2015年)、地域別に見ると,アジアが全体の約60%をしめている。とくに東・東部・囲 アジアのモンスーン地帯に人口が集中している。また、ヨーロッパ西部やアメリカ北東部も人口密度が高い。
第二次世界大戦後は、アフリカなどの発展途上国で人口爆発ともよばれる急激な人口増加がみられる。発展途上国では出生率が高く、また衛生面の向上などから乳児死亡率が低下したため、高い人口増加率を示している。一方、出生率の低いヨーロッパなど先進工業国(先進国)では、人口増加率が低く、人口が減少している国もみられる。
人口の移動
農村から都市部へ移動。内戦や迫害をのがれる難民も多い。 人類は誕生以来、よりよい土地を求め、人口移動を繰り返してきた。人口移動は国際移動と国内移動とに分けられる。
大航海時代
15~16世紀の新航路の開拓後、ヨーロッパ人の南北アメリカ大陸への移住や、その後のアフリカからアメリカへの黒人奴隷の強制移住などが大きな国際移動である。
第二次世界大戦後
第二次世界大戦後は、所得の低い国から多くの労働者が先進工 業国や産油国などへ移動した。 国内移動としては、工業の発展にともなう農村から都 市への移動が代表的である。都市への人口集中は、近年も発展途上国を中心に著しく、交通混雑や住宅難などの生活環境の悪化、犯罪の増加などが問題になっている。
アフリカなどでは、内戦や迫害をのがれて国外や国内の他地域へ移動する難民も多い。
世界の人口問題
発展途上国で食料不足など、先進工業国で労働力不足などが問題となっています。現在、世界の人口の80%あまりが発展途上国に住んでいる。とくにアフリカでは人口増加が激しく、人口の増加に 食料生産が追いつかず、食料不足になやむ国が多い。
食料不足
食料不足は、干ばつなどによる不作のほか、長く続く内戦や政情不安による耕地の荒廃、それにともなう難民の増加も大きな要因になっている。
格差の拡大
人口の急激な増加は、失業者の増加をまねき、貧困層の拡大にもつながる。近年は、農村から都市への人口移動が進み、それにともなう都市のスラム化が問題になっている。
労働者不足
先進工業国では出生率の低下による労働力不足が問題になっている。そのためヨーロッパでは、トルコなど地中海沿岸諸国や旧植民地の国々から多くの外国人労働者を受け入れてきた。しかし、不景気になって失業者が増えると、外国人労働者や移民などへの迫害・差別が生まれるなどの社会問題もおこっている。
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