『平家物語』は、鎌倉時代に成立した軍記物語で、平家一族の栄華と没落を描いた名作です。中学2年の国語では、特に冒頭の「祇園精舎の鐘の声…」から始まる有名な文章や、登場人物の行動・心情、語句の意味、文のリズムや比喩表現などが定期テストに頻出します。本記事では、テストによく出るポイントをわかりやすく整理し、覚えておくべき内容を簡潔に解説します。
平家物語の定期テスト対策予想問題
A.次の空欄➊に入る語句を漢字、傍線部➌➍は読み方を書きなさい。ただし、➋については、次の選択肢ア~エより一つ選ぶこと。また➎➏は現代仮名遣いを書きなさい(ひらがなでもよい)。
祇園精舎の鐘の声、➌諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、➍盛者必衰の理をあらはす。
( ➎ )、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂にはほろびぬ、( ➏ )。
(➋の選択肢)ア:旅行記 イ:歌物語 ウ:随筆 エ:軍記物語
B.次の場面を読んで、次の問いに答えなさい。
ころは二月十八日の酉の刻ばかりのことなるに、をりふし北風激しくて、 磯打つ波も高かりけり。舟は、揺り上げ揺りすゑ漂へば、➊扇もくしに定まらずひらめいたり。 ➋沖には平家、舟を一面に並べて見物す。陸には源氏、くつばみを並べてこれを見る。 いづれもいづれも➌晴れならずといふことぞなき。
与一目をふさいで、
「南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神、 願はくは、あの扇の真ん中射させてたばせたまへ。 これを射損ずるものならば、弓切り折り白害して、人に二度面を向かふべからず。 いま一度本国へ迎へんとおぼしめさば、この矢はづさせたまふな。」と心のうちに祈念して、目を見開いたれば、風も少し吹き弱り、 扇も射よげにぞなつたりける。
与一、かぶらを取つてつがひ、よつぴいてa.ひやうど放つ。 小兵とb.いふぢやう、十二束三伏、弓はつよし、浦響くほど長鳴りして、 あやまたず扇の要ぎは一寸ばかりおいて、c.ひいふつとぞ➍射切つたる。 鏑(かぶら)は海へ入りければ、扇は空へぞ上がりける。 ➎しばしは虚空にひらめきけるが、春風に一もみ二もみもまれて、海へさつとぞ散つたりける。
夕日のかかやいたるに、みな紅の扇の日出したるが、白波の上に漂ひ、浮きぬ沈みぬ揺られければ、 沖には平家、ふなばたをたたいて感じたり、陸には源氏、 えびらをたたいてどよめきけり。
問1 下線部➊の様子だった翁が、与一が念じるとどのように変化しましたか。その様子を表現した部分を十五字以内で探して抜き出しなさい。
問2 下線部➋と対句になっている表現を抜き出しなさい。
問3 下線部➌の表現技法から次から一つ選んで記号で答えなさい。
ア:対句法 イ:反復法 ウ:係り結び エ:反語
問4 下線部➍の主語を漢字一字で答えなさい。
問5 下線部➎の主語をこれより後から十一字で探して抜き出しなさい。
問6 下線部a~cの仮名遣いを現代仮名遣いになおしなさい。また、擬音語でないものを一つ選んで記号で答えなさい。
平家物語の定期テスト対策予想問題の解答
A
➊鎌倉
➋エ
➌しょぎょうむじょう
➍じょうしゃひっすい(しょうしゃひっすい) 学校で習った通りに書きましょう。
➎おごれる人も久しからず
➏ひとへに風の前のちりに同じ
B
問1 翁も射よげにぞなったりける。
問2 陸には源氏くつはみを並べてこれを見る。
問3 ウ
問4 鏑(かぶら)
問5 皆紅の翁の日出だしたる
問6 aひょう bいうじょう cひいふっ 記号b
『平家物語』(那須与一の扇の的)|定期テストの重要ポイントまとめ
【場面の概要(あらすじ)】
この段は、「那須与一(なすのよいち)」という弓の名手が、平家の船に立てられた「扇の的(おうぎのまと)」を射抜くという緊張感のある名場面です。
源氏と平家の戦の最中、平家が海上の船に扇を立て、与一に「これを射てみよ」と挑発。与一は見事に扇を射抜き、源氏の武勇と気迫を示すことに成功します。
【登場人物と特徴】
登場人物 | 特徴・役割 |
---|---|
那須与一 | 源氏側の若武者。弓の名手で、冷静沈着。見事に扇を射抜く。 |
平家の兵 | 船に扇を立てて挑発。美しい身なりや風流な態度が描かれる。 |
観衆(源氏・平家の兵) | 与一の射撃を見守り、成否に注目する。緊張感を高める存在。 |
【定期テストに出やすいポイント】
① 文章の構成
序(状況の説明):二月十八日の夕刻、風が激しく吹いている状況。
破(出来事の展開):平家が扇を立てて挑発し、与一が馬を海に進めて射る準備をする。
急(クライマックス):与一が矢を放ち、扇を見事に射抜く。
② 与一の心理描写
緊張と冷静のバランスが描かれている。テストでは「どのような気持ちだったか」が問われやすい。
③ 美しい表現と描写
- 「扇の的」の色・形・動きの美しさの描写 → 風流な文化も表現。
- 「風激しくして…」という自然描写 → 緊張感を高める演出。
④ 武士の理想像
- 与一の行動には、勇気・礼儀・冷静さが表れ、当時の理想の武士像が描かれている。
- 「武士道精神」や「名誉を重んじる心」が反映されている点も評価される。
⑤ 古語・語句の意味
- 「ころは」=時は
- 「をりふし」=ちょうどそのとき
- 「射よ」=射てみよ
- 「たぐひなし」=並ぶものがないほどすばらしい
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