中学3年生の皆さん、「和歌」対策はできていますか?和歌は、万葉集・古今和歌集・新古今和歌集と時代を越えて詠まれ、和歌の特徴や時代背景を学ぶうえでとても重要な題材です。本記事では、各歌集での表現の違いや、和歌独特の世界観、テストに出やすいポイントを徹底解説します。入試に向けた対策としてぜひ活用してください!
君待つと(万葉集・古今・新古今和歌集)予想問題
次の和歌を詠んで、次の問いに答えなさい。
【万葉集】
A:春過ぎて夏来るらし白たへの衣干したり天の香具山 持統天皇
B:君待つと吾が恋ひをれば我が屋戸のすだれ動かし秋の風吹く 額田王
C:天地の分れし時ゆ 神さびて 高く貴き駿河なる富士の高嶺を 天の原振りさけ見れば 渡る日の影も隠らひ照る月の光も見えず 白雲もい行きはばかり時じくそ雪は降りける 語り継ぎ言ひ継ぎ行かむ不尽の高嶺は 山部赤人
D:田児の浦ゆ、うち出でて見れば、真白にそ、富士の高嶺に、雪は降りける 山部赤人
E:憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も我を待つらむそ 山上憶良
F:父母が頭かき撫で幸くあれて言ひし言葉ぜ忘れかねつる 防人の歌
【古今和歌集】
G:人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける紀貫之
F:思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを 小野小町
I:見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の秋の夕暮
問1 ➊貴(たふと)き ➋にほひけるを現代仮名遣いに直し、全て平仮名で答えなさい。
問2 A~Iの和歌の中で、係り結びが使われている和歌を選び、全て記号で答えなさい。
問3 Aの歌で、作者が夏が来たことを何から感じ取ったのですか。和かから5字で抜き出しなさい。
問4 Bの歌で、「君」とは作者にとって、どんな人のことですか。
問5 Bの歌で、「すだれ動かし」とありますが、すだれを動かしたのは何ですか。和歌から抜き出しなさい。
問6 Cのような形式の歌を何と言いますか。また、Cの歌に添えられたようなDのような形式の歌を何と言いますか。
問7 Cの歌で、「渡る日の影も隠らひ」と対句になっている部分を和歌から抜き出しなさい。
問8 Cの歌で、「神さびて 高く貴き駿河なる富士の高嶺を」を作者はどうしようと歌っているのですか。和歌から抜き出しなさい。
問9 「憶良らは今は罷らむ」を現代口語訳に直しなさい。
問10 Eの歌から感じ取られる作者の感情として適切なものを、次から1つ記号で選びなさい。
ア家族に対する希望 イ家族への失望 ウ家族への強い義務感 エ家族への暖かい愛情
問11 Fの歌で「父母」は作者に何をしたのですか?二十五字以内で答えなさい。
問12 GとIの歌で、「花」とは、それぞれ何の花を指していますか。
問13 Gの歌で、作者はどんなことを言っていますか。三十五字以内で答えなさい。
問14 「人の見えつらむ」を現代口語訳に直しなさい。
問15 Hの歌の作者を漢字で正確に答えなさい。
君待つと(万葉集・古今・新古今和歌集)予想問題解答
問1 ➊とうとき ➋においける
問2 C,D,F,G
問3 白たへの衣
問4 恋しい人
問5 秋の風
問6 C長歌 D反歌
問7 照る月の 光も見えず
問8 語り継ぎ 言い継ぎ行かむ
問9 私憶良めは、もう退出いたしましょう。
問10 エ
問11 作者の頭をなでて、無事でいるようにと言った
問12 G梅 I桜
問13 変わらない自然に対して、人の心は変わりやすいものだということ
問14 恋しい人が夢に現れたのだろうか。
問15 小野小町
和歌の世界のポイント
【万葉集】
A:春過ぎて夏来るらし…(持統天皇)
▶ 季節の移ろいを感覚でとらえた歌。
▶ 「白たへの衣」「天の香具山」=視覚的・聴覚的な自然描写で夏の到来を表現。
B:君待つと吾が恋ひをれば…(額田王)
▶ 「恋」と「風」の取り合わせで、恋心と自然の動きを重ねている。
▶ 「すだれ動かし」=相手の訪れかと思う心の揺れ。
C:天地の分れし時ゆ…(山部赤人)
▶ 富士山の神々しさを壮大なスケールで描く長歌。
▶ 永遠性(時じくそ雪は降りける)と自然の神聖さが主題。
D:田児の浦ゆ…(山部赤人)
▶ 短歌形式の富士山賛美。
▶ 自然美を直感的にとらえた写実的表現が特徴。
E:憶良らは今は罷らむ…(山上憶良)
▶ 家族への思い(子・妻)が強く出ている。
▶ 当時の労働者の心情を率直に詠む→万葉集の「庶民性」。
F:父母が頭かき撫で…(防人の歌)
▶ 出征する兵士の家族への思いが表現されている。
▶ 「忘れかねつる」=親の愛情の深さとそれを忘れられない心。
【古今和歌集】
G:人はいさ心も知らず…(紀貫之)
▶ 人の心は移ろうが、花は昔のまま…という対比。
▶ 和歌独特の“本意と見せかけのずらし”がある歌(恋の歌にも読める)。
H:思ひつつ寝ればや人の…(小野小町)
▶ 恋の思いが夢に現れたことを詠む。
▶ 「夢と知りせば…」=現実と夢のはざまの感情がポイント。
I:見渡せば花も紅葉も…(作者不詳)
▶ 有名な「秋の夕暮れ」三大和歌の一つ。
▶ 「何もない」景色がかえって寂しさ・わびしさを強調。
▶ 枯淡の美、簡素な中にある情趣。
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