中学公民「政党政治と選挙のしくみ」についてまとめています。政党政治と選挙のしくみに関して、民主主義、政党政治、選挙の基本原則などにもふれています。それでは、中学公民「政党政治と選挙のしくみ」です。
民主主義と政治
民主主義とは、みんなで話し合い、決定するというやり方です。民主主義の政治には、国民主権や基本的人権、個人の尊重などが不可欠です。
多数決と少数意見の尊重
- 直接民主制…国民や住民が、直接話し合いに参加するやり方。
- 間接民主制…代表者を選挙で選び、その代表者からなる議会で、話し合って物事を決定するやり方。議会制民主主義ともいいます。
- 多数決の原理…話し合いで意見が一致しない場合、多数決の意見を採用すること。結論を出す前に、少数意見の尊重が必要。
政党政治
- 政党…政治で実現したい理念を達成しようとする方針・政策について同じ考え方を持つが人々が作る団体。日本では、得票や議席に応じて国から各政党へ、政党交付金を交付。
- 政党政治…議員が政党を中心に活動し、複数の政党が政策の実現を目指して行う政治。二大政党制が、議会の大半を占める二党制(イギリスなど)、三つ以上の主要政党が存在する多党制(ドイツなど)など。
政党の動き
国民の様々に意見を集約して、政治に反映させ、政治の動きや政策を国民に知らせる。
- 首相…選挙で最大議席を獲得した政党または政党グループのリーダーがなるのが一般的。内閣を組織。
- 与党…内閣を組織して政権を担う政党。
- 野党…政策を監視・批判する政党。
- 連立政権…複数の政党によって組織される政権。
日本の政党の動き
1955年以来、自由民主党(自民党)が政権を担当しました。1993年から94年にかけて、自民党以外の政党による連立政権が誕生。ニ大政党(民主党と自民党)と小政党(公明党、日本共産党、社会民主党、みんなの党など)への動き。2009年の衆議院議員選挙(総選挙)の結果、民主党中心の連立政権が成立。現在は、自由民主党と公明党の連立政権。
- 政権公約(マニフェスト)…政権を担当した場合に実施する政策やその財源、目標の達成などを具体的に明記した約束。
- 無党派層…好きな、また身近に感じられる政党を持たない人々、その判断が、選挙の結果に影響する。
選挙のしくみ
制限選挙から普通選挙へと選挙権が拡大していきます。明治憲法下の制限選挙では、国民の参政権は大幅に制限されていました。
- 1889年にはじめて男性にのみ選挙権が認められましたが、 財産(納税額)の少ない国民には選挙権をあたえない制限選挙でした。
- 1925年の選挙法改正で財産による制限はなくなり、第二次世界大戦が終わるまでは男性のみの普通選挙が行われました。
日本国憲法下で完全な普通選挙制に
1945年、日本国憲法の制定に先んじて選挙法が改正され、女性の選挙権が認められ、完全な普通選挙制が実現しました。選挙年齢もそれまでの満25歳以上から満20歳以上に引き下げられました。現在は、18歳。
現在の選挙の4原則
公正な選挙を行うために、現在の選挙は次の4原則のもとで行われています。
- 普通選挙…年齢制限(満18歳以上)以外に選挙権の資格制限はない。
- 平等選挙…有権者は平等に一票ずつの投票権を持つ。
- 直接選挙…有権者は直接自分で投票をする。
- 秘密選挙…だれに投票したか知られないよう投票は無記名で行う。
選挙制度
現在各国で採用されている選挙制度は、大きく三つに分けられます。
- 小選挙区制…一選挙区から一人の代表を選出する方法です。議会で多数派ができやすく政権が安定するという長所があります。一方死票が多く、民意が正しく反映されないなどの短所があります。
- 大選挙区制…一選挙区から二人以上を選出する方法です。有権者の民意を比較的反映しやすいが、候補者個人中心の選挙になって政策本位の選挙になりにくいという短所があり ます。
- 比例代表制…政党の得票に応じて各政党に議席を配分する方法です。民意を反映し、少数勢力も議席を確保できますが、議会が小党分立になりやすいという短所もあります。
衆議院議員選挙
衆議院議員選挙は、小選挙区比例代表並立制であり、全国を300の小選挙区に分けた小選挙区制(定数300)と、全国を11のブロックに分けた比例代表制(定数180)を組み合わせた制度で行われています。この制度は、政党中心で政策本位の選挙に変わることを期待して、1994年にそれまでの大選挙区制に変えて導入されたものです。
参議院議員選挙
参議院議員選挙は、比例代表制と選挙区制であり、全国を一つの単位とした 比例代表制と、都道府県を単位として選挙区ごとに各1~5人の代表を選ぶ選挙区制で行われています。全体の半 数ずつが3年ごとに改選されます。
- 小選挙区制…一つの選挙区で一人の代表を選ぶ。大政党の候補者が逮捕することが多く、議会で多数派を形成されやすい。
- 大選挙区制…一つの選挙区で二人以上の代表を選ぶ。
- 比例代表制…得票に応じて各政党の議席を配分。小選挙区制より少数意見が代表されやすいが、議会が小党乱立になることもあります。
- 衆議院議員選挙…小選挙区制と比例代表制を組み合わせた小選挙区比例代表並立制を採用。
- 参議院選挙…都道府県を単位とする選挙区制と全国一つの単位とする比例代表制で実施。3年ごとに半数を改選。
選挙の課題
選挙の課題として、低投票率、政治への無関心・無力感から民主政治の危機が言われています。また、一票の格差問題などもあります。
投票率の低下
最近の国政選挙の投票率は、衆議院議員選挙で 60%前後(小選挙区)、参議院議員選挙では60%を大きく下回ることもありました。一時、衆 議院議員総選挙(2009年, 小選挙区)では70%近く、2010年の参議院議 員選挙では60%近くになっていて、投票率の低落傾向は、やや改善さ れてきたとされましたが、近年は、また悪化しています。
選挙棄権
有権者の10人に3~4人は棄権し、特に若い人の棄権率が 高くなっています。地方議会の議員や首長の選挙の投票率は、さらに低い状況です。
投票率低下の問題点
選挙を棄権する人が多くなると、政治が一 部の人たちによって決められてしまうことになります。民主政治の生気を失わせ、民主政治をくつがえそうという動きを助けることにもな りかねません。
一票の格差の問題
選挙の公平・公正という観点から、住んでいる地域によって一票の価値が不平等になるという、一票の格差の問題も重要です。選挙区によって、議員1人あたりの有権者数が大きく異なるため、選挙区ごとの一票の格差が問題となっている。これまでは、最高裁は衆議院議員選挙で3倍, 参議院議員選挙で6倍の格差を「違憲」と判断してきた。
その他
選挙動をめぐる問題など 買収・供応といった選挙活動をめぐる不正行為、不透明な政治資金の問題もあります。民主政治の発展のために 主権者としての自覚を持ち、選挙の際には政党や候補者の意見をよく聞いたうえで判断し、投票することが大切です。
政治参加と世論
政治参加は、選挙で投票する以外に様々な方法があります。
- 利益集団(圧力団体)…世界の目的を実現するために、政府や政党、議会などに組織的な働きかける団体。
世論とマスメディア
時に、政治を動かす世論。世論調査は、世論の動きを知るものであり、マスメディアは、世論形成に大きな影響を与えるので、特に、大きいマスメディアの役割は重要です。よって、マスメディアには、報道の自由・知る権利の保障するとおもに、正確な情報を発信し、公正な世論を形成していく必要があります。世論とは、公共的な問題について、多くの人々が持つ共通の意見のことをいいます。
政治を動かす世論
現代の民主政治は、世論による政治といわれるほどで、その動向が政策の決定に大きな影響をあたえています。世論調査でその動向を見て、政策が不人気であれば政府はしばしば方針変更を行ったりします。
世論形成におけるマスメディアの役割
世論をかたちづくるうえでマスメディアは大きな力を持っています。人々は政府や政党の活動を報道を通して知り、社説や討論会の放映での意見を参考にして、自分の意見をまとめていきます。そして、どのような世論が形成されたかを見るために、マスメディアは世論調査を行います。
公正な世論形成
公正な世論形成と自由があり、報道の国民が政治に参加するうえで大切な知る権利は、報道の自由に支えられています。自由にさまざまな情
報が提供される環境の中で、公正な世論の形成が可能になります。
メディアリテラシーとは
マスメディアから発信される情報を、さまざまな角度から批判的に読み取る力をいいます。メディアリテラシーが必要な時代です。それは、メディア各社の情報をうのみにすることは危険だからです。なぜなら各社の考え方のちがいにより、同じ記事でも論じ方にちがいがあります。記事の取り上げ方が刺激的、一面的、不正確なこともあります。そこで、このニュースは「事実なのか」「どういう意味を持つのか」な どを検討するメディアリテラシーが必要になります。
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