【中学公民】国会の地位としくみ・国会の首里・国会の仕事・衆議院の優越です。国会のしくみと行政のしくみに関して、国会の地位としくみ、国会の働き、行政と内閣、行政改革などにふれています。
国会の地位としくみ
- 国会の地位…国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関です。
- 国会のしくみ…国民の意見を広く国会に反映させ、慎重に審議を行うため、国会は、衆議院と参議院からなる二院制(両院制)を採用。
国会の種類
国会の種類には、常会・臨時会・特別会、さらに参議院の緊急集会があります。それぞれの国会についてみていきましょう。
- 常会(通常国会)…毎年に1回、1月中に召集。150日間。
- 臨時会(臨時国会)…内閣が必要と認めたとき、またいずれかの議院の総動員の1/4以上の要求があった場合に召集。両議院の議決の一致による。
- 特別会(特別国会)…衆議院解散後の総選挙の日から30日以内に召集。両議院の議決の一致による。
- 参議院の緊急集会…衆議院解散中、緊急の必要があるとき、内閣の求めにより開かれる。
常会(通常国会)
毎年1回、定期的に召集される国会をいい、1月中に召集される。会期は、国会法で150日間と定められている。次年度の受賞の審議や議決が行われる。
臨時会(臨時国会)
臨時会には会期の定めはなく、議決によって会期が決定される。臨時の議題を議決するが、臨時会は、次のように2つに区別される。
- 選挙での臨時会…参議院の通常選挙や衆議院の任期満了による総選挙後30日以内に召集される。
- 憲法に基づく臨時会…内閣が必要と認めた場合、またはいずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求がある場合に召集される。
特別会(特別国会)
衆議院の解散に伴う総選挙後、30日以内に召集される国会。会期は、召集後の議決で決める。内閣総理大臣の指名の議決が主要議題となる。
会期の延長
国会の会期は、常会の場合は1回、臨時会や特別会では2回まで延長が認められている。会期は、常会の場合以外は、両議院一致の議決で決定する。
参議院の緊急集会
緊急集会は、衆議院の解散中、議会が空白にならないための制度。衆議院の解散中、国会の議決を必要とする緊急事態が生じた場合、内閣総理大臣から、議案と日時を定めて参議院議長に通知される。緊急集会での議決は、次の国会開会後、10日以内に衆議院の同意が得られなければ、その後の効力を失う。
通常選挙
参議院議員を選出するため行われる選挙をいう。公職選挙法は、衆議院議員の選挙を総選挙(全員が改選するためこうよばれる)、参議院議員の選挙を通常選挙地方議会議員の選挙を一般選挙とよんで区別している。
任期満了
議員としての任期が終わること。衆議院議員がいっせいに身分を失うのは、任期満了による場合と解散による場合がある。
国会の会議の議決
国会の議決は、多数決が原則です。少数意見に配慮し、じゅうぶんに議論をしても意見が対立したままの場合、最後には原則として多数決で決定します。
- 過半数の賛成で可決…議事の可決には、原則として出席議員の過半数の賛成が必要です。
- 賛否同数の場合…議長が決めます。
国会の議決の成立
- 両議院の議決の一致で成立…法律案、予算、内閣総理大臣の指名。条約の承認などの議決は、両議院の議決の一致で成立するのが原則です。
- 両議院で議決が異なった場合…衆議院の優越・国会の意思形成をしやすくするため、衆議院に強い権限を認め、衆議院の意思を優先させる制度がとられています。これを衆議院の優越といいます。
衆議院の優越を認めている理由→衆議院の任期は参議院より短く、解散制度もあり、国民の声を比較的反映させやすいからです。
さらに詳しく
・衆議院議員の任期は4年で、参議院議員の6年に比べて短い。
・国民の意思を問うために、任期満了前に全議員の資格を失わせる解散があるが、参議院にはない。
これらから衆議院のほうが 主権者である国民の声をより敏感に反映すると考えられるから。
衆参両議院の会議は公開が原則です。一定の手続きをすれば議事の傍聴ができます。テレビやラジオで放送されます。インターネットでの中継も行われています。
衆議院の優越
衆議院の優越を設けている根拠は、参議院に比べて、衆議院は任期が短く解散もあるため、国民の意思をより的確に反映すると考えられているためである。衆議院の議決が参議院の議決より重くみられるものには、以下のようなものがある。
法律案の議決での衆議院の優越
- 参議院が異なる議決をした場合…衆議院で3分の2以上の賛成で再可決すれば法律となる。両院協議会を開いて両議院の意見の一致をはかってもよい。
- 参議院の議決が遅れた場合…60日以内に議決しないときは衆議院の再可決で成立する。
予算の議決と条約の承認での衆議院の優越
- 参議院が異なる議決をした場合…両院協議会を開いても意見が一致しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる。
- 参議院の議決が遅れた場合…参議院が衆議院から予算や条約を受け取って30日以内に議決しないときは衆議院の議決が国会の議決となる。
内閣総理大臣の指名での衆議院の優越
- 参議院が異なる議決をした場合…両院協議会を開いても意見の一致が得られないときは、衆議院の指名の議決が国会の議決となる。
- 参議院の議決が遅れた場合…衆議院の指名の議決後、10日以内に参議院が指名の議決をしないと衆議院の議決が国会の議決となる。
衆議院だけに認められている権限の範囲において、衆議院の優越には、次のようなものがある。
- 予算の先議権・予算を国会に提出する場合…必ず先 に衆議院に提出しなければならない。この衆議院の予算先議権は、大日本帝国憲法でも定められていた。
- 内閣信任・不信任の決議権…衆議院は、内閣の信任・不信任の決議を行うことができる。
両院協議会の組織と仕事
両院協議会は、各議院で選ばれた10名ずつの協議員で構成され、両議院間の異なった意見を円満に調節する。妥協案が成立すれば、各議院で審議され議決される。予算の議決、条約の承認 内閣総理大臣の指名について、両議院の意見が異なったときは、必ず開かれる。一般の法律案の議決について、両議院の意見が異なったときは、衆議院の請求があれば開かれる。
国会の仕事
- 法律の制定(立法)…法律は、国会が定める決まりで、憲法の次に強い効力を持つ。
- 予算の審議・議決…国の収入と支出の見積もりである予算を審議し、議決する。
- 内閣総理大臣の指名…国会議員の中から国会の議決により、内閣総理大臣(首相)を指名する。
- 条約の承認
- 憲法の改正の発議
- 地位にふさわくしくない行為をした裁判官をやめさせるかどうかの判断(弾劾裁判)などがある。
憲法改正の発議
各議院の総議員の3分の2以上の賛成で発議するが、両議院の議決は対等で、両議院が賛成しなければ発議できなし。日本国憲法は、国の政治の仕組みの根本を定める法で、最高法規であり、憲法に反する法律や命令は無効となります。
- 日本国憲法の構成…「人権の保障」(目的)と国の政治のしくみ(手段)の二つから構成。1946年11月3日公布、1947年5月3日施行。
- 日本国憲法の基本原理…国民主権、平和主義、基本的人権の尊重
- 国民主権…国の政治の決定権は国民が持ち、政治は国民の意思に基づいて行われるという権利。国民によって選ばれた代表が議会で決定する議会制を採用。
- 手順1 内閣や国会議員による発案(国会議員などが、憲法改正案を国会に提出する。)
↓ - 手順2 国会の発議(各議院の総議員の3分の2以上の賛成で憲法改正の発議を行う。衆議院の優越はなく、両議院の議決がなければ発議できません。)
↓ - 手順3 国民の承認(国民投票によって有効投票の過半数の賛成を得たときに行われます。)
↓ - 手順4 天皇の公布(天皇が国民の名で公布する。公布には内閣の助言と承認が必要です。)
※法律は、出席議員の過半数の賛成で成立ですが、憲法改正の発議は、各議院の総議員の3分の2以上の多数で議決することが憲法96条に定められています。これは、憲法が簡単に改正されるのを防ぐことをねらいとしています。
国民投票法
2007年5月14日、憲法改正の国民投票に関する手続きを定めるとともに、憲法改正の発議に係る手続きの整備を行うことを目的に制定され、2010年から施行されています。投票年齢を18歳以上と定めています。
憲法改正練習問題
- 憲法改正には、特別な手続きが必要ですが、これは、法律の改正に比べて、より厳格です。その理由を「最高法規」と「慎重」の語句を使って書け。
- 憲法の改正が成立後、天皇が国民の名において公布するのはなぜか。
解答
- 憲法は、国の最高法規なので、改正には慎重な判断が必要だから。
- 憲法を改正する権限は、主権者である国民にあるから。
法律の制定
憲法は第41条で、国会は「国の唯一の立法機関である。」としている。法律案の発議権は国会議員と内閣に属している。法律案の議決は、両議院の議決の一致を原則とするが、両議院の議決が異なった場合には衆議院の議決が優越する。成立した法律は、内閣の助言と承認の下で天皇が公布する。
法律の内容による区分
- 立法・行政・司法の各機関のしくみや、行政・財政のしかたを定める…公職選挙法、地方自治法、情報公開法、教育基本法、環境基本法
- 犯罪とその刑罰や、裁判についての手続きを定める…刑法、刑事訴訟法、民事訴訟法
- 家族関係や商品の取り引き、会社のしくみなどを定める…民法、戸籍法、商法
- 労働関係、社会保障、経済関係について定める…労働基準法、労働組合法、独占禁止法 消費者基本法
法律のできるまで
法律案は、衆参両議院で可決したときに法律となります。法律案は衆議院、参議院のどちらに先に提出してもよいのですが、ここでは法律のできるまでを、衆議院先議の場合でまとめています。
- 法律案の提出…国会議員または内閣が、衆議院に提出します。
- 委員会で審議…提出された法律案は、まず委員会で審議されます。委員会の審議の過程で、 予算や重要法案については、公聴会が開かれます。
- 本会議で審議…委員会で採決された法律案の審議経過と結果が衆議
院本会議に報告され, 本会議で質疑・討論,採決が行われます。 - 衆議院本会議で可決された法律案…参議院(この場合の後議の議院) に送られます。
- 参議院で可決された場合…衆議院と同じ手続きを経て可決された場合、法律として成立します。参議院が修正可決した場合、衆議院が 修正に同意すれば、修正された法律が成立します。
衆議院が可決し参議院が否決した場合
参議院が60日以内に議決しない場合もふくむ
- 衆議院が出席議員の3分の2以上で再可決すれば、衆議院の議決が優先して、法律が成立します。
- 両院協議会で協議・各議院から10人ずつ選ばれた委員で構成される両院協議会が開かれ、そこで意見調整を行い成案を得る努力がなされることがあります。合意すれば合意案を衆参両院で再可決して成立させます。
予算の議決と決算の審査
予算の作成と提出は内閣が行う。予算は先に衆議院に提出しなければならない (衆議院の先議権)。予算委員会での審議を経て、本会議で議決される。予算委員会での審議では必ず公聴会を開かなければならない。決算は、会計検査院の検査報告をそえて両議院に提出され、各議院が審査して承認する。
内閣総理大臣の指名
国会は、国会議員の中から原則として両議院の一致した議決によって内閣総理大臣を指名する。両議院の指名の議決が一致しない場合などには、衆議院の指名の議決が優越する。
条約の承認
条約は通常、内閣の調印後、国会の 外認を得て内閣が批准し、天皇が公布する。
弾劾裁判所の設置
各議院が議員の中から選んだ7名ずつ、計14名の裁判員で構成される弾劾裁判所、裁判官訴追委員会から罷免の訴えを受けた裁判官において罷免するかどうかの決定を行う。裁判において罷免の宣告があれば,その裁判官は罷免される。
衆議院の解散
解散とは、国民の代表である葉議院議員の資格を任期満了前に失わせること、議院内閣制の下で、国会と内閣が対立した場合、解散を行って国民の意思を問うためにとられている制度である。
総選挙
解散後に実施される総選挙で、国会に世論をより的確に反映させることを目的としている。内閣は国会の信任の上に成立しているため、衆議院が内閣信任案を否決するか、内閣不信任案を可決したときは、10日以内に内閣は総辞職するか、衆議院を解散しなければならないと憲法第69条に定められている。解散は、内閣が総辞職ではなく、衆議院の解散を決定した場合に行われる。
ほかに重要問題で民意を問う場合などには、憲法第7条の定めにより、内閣の助言と承認によって、天皇が衆議院を解散が行われる
衆議院の解散後
衆議院の解散後は、40日以内に衆議院議員総選挙が行われ、総選挙の日から30日以内に特別会が召集される。その際、内閣は総辞職し、新たな内閣総理大臣の指名が行われることになる。
国会の指名を受けて、天皇は新たな内閣 総理大臣を任命する。なお、総辞職後の内閣は、新たな内閣総理大臣が任命されるまでは、引き続きその職務を行う。
参議院の緊急集会
緊急集会は、衆議院の解散中、議会が空白にならないための制度。衆議院の解散中、国会の議決を必要とする緊急事態が生じた場合、内閣総理大臣から、議案と日時を定めて参議院議長に通知される。
緊急集会での議決は、次の国会開会後、10日以内に衆議院の同意が得られなければ、その後の効力を失う。
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