【中学公民】平等権・自由権・社会権(共生社会を目指して)の要点まとめ

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平等権・自由権・社会権(共生社会を目指して)の要点まとめです。

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共生社会を目指して

男女平等や性の多様性の理解、障がいのある人のへの理解、在日外国人への理解など、共生社会を目指すうえで、以下の平等権・自由権・社会権の権利は重要になります。

平等権の要点

平等権【図解】
平等に生きるとは、全ての人は平等権を持つものの歴史的に偏見に基づく差別があり、現在も残る。

  • 部落差別からの解放…被差別部落の出身者に対する差別の対策として、同和対策審議会の答申(1965年)など。
  • アイヌ民族の差別撤廃目指して…アイヌ文化振興法の法定(1997年)。国会の「アイヌ民族を先住民とすることを求める決議」(2008年)など。
  • 在日韓国・朝鮮人の差別撤廃を目指して…選挙権や公務員になることなどで制限。公務員の国籍による制限を撤廃し、外国人を採用する地方公共団体もあります。
  • 男女平等目指して男女雇用機会均等法(1985年)、男女共同参画社会基本法(1999年制定)。
  • 日本に住んでいる外国人…差別をなくし、年金・保険など社会保障の整備が必要。
■ 障害のある人への配慮
障害者基本法の制定や国際連合による障害者権利条約の採択(2006年)など。

  • バリアフリー…障害のある人や高齢者が、社会の中で安全・快適に暮らせるよう、身体的、精神的、社会的障壁(バリア)を取り除こうという考え方。
  • ノーマライゼーション…障害のあるなしに関わらず、全ての人が区別されることなく普通に生活を送れるようにすること。

自由権の要点

自由権【図解】
自由の大切さを知るときは、わたしたちは自由が抑圧されたりうばわれたりしない限り、なかなか自由の大切さに気づきません。今日、世界の多くの国々では、さまざまな自由権が保障されてきています。しかし、工業化を急ぐ独裁政権や軍事政権下の発展途上国などでは、政治的反対派の自由を抑圧する例がしばしば見られます。

  • 精神の自由…自由にものを考えたり、思想や信仰を持ったり、意見を発表したりする権利。
  • 身体の自由…正当な理由なくとられたり、自由を拘束されたりしない権利。
  • 経済活動の自由…公平な活動により、社会や経済の仕組みがうまく機能するよう、精神の自由に比べ法律は広く制限される。
■ 自由権と国家
封建社会では、人々は土地や身分にしばりつけられていました。そこで、近代革命を経て成立した憲法は、何よりもまず、国家が人々の自由を制限することを禁じ、権力から自由を守るくわしい規定を設けることになったのです。ロック、モンテスキュー(法の精神で三権分立を主張)、ルソーらが提唱。その後、18世紀の近代革命(アメリカ独立戦争・フランス革命)により、アメリカ独立宣言・フランス人権宣言(人は、生まれながら自由で平等な権利を持つ)として、自由権、平等権が確立。

■ 精神の自由
精神の自由は人間らしく生きるうえで重要であり,また民意を反映した民主主義の政治を成り立たせるうえで不可欠です。

  1. 思想および良心の自由(第19条)…国家権力はときに人の日常の行動から、その人の考えていることを推測して、人の自由を拘束することがあります。このような国家権力の抑圧から守るため、日本国憲法は思想・良心の自由を保障しています。
  2. 信教の自由(第20条)…人は宗教を信じ、これを広めるために団体をつくり、宗教活動をする自由を持っています。逆に国などは、特定の宗教のための活動をしてはならないのです。
  3. 集会・結社・表現の自由(第21条)…内心を外に発表する自由であり、集会・結社・デモ行進の自由や出版、テレビ、ラジオ、絵画、映画、写真、音楽などでの表現の自由です。これは主権者の意思表明の自由という点で、民主主義の根幹となる権利です。
  4. 学問の自由(第23条)…学問研究やその研究成果を発表する自由で、真実がゆがめられないために必要な権利です。

社会権の要点

社会権【図解】
社会権は、人間らしい生活の実質的保障であり、そこには、健康で文化的な最低限度の生活保障があります。学問の自由が保障されていても、貧しい人は学費の高い上級学校へ進学して学問をすることはできません。

職業選択の自由があっても、失業者や高齢者、病気に苦しむ人は、仕事について収入を得ることは困難です。そこで、さまざまな社会的不平等をなくし、人間らしい生活をすべての人々が営むことのできる権利を国が保障すべきであるという考えが生まれました。

  • 社会権…人間らしく生きるために必要な生活の保障を国に求める権利。日本国憲法は、生存権、教育を受ける権利、勤労の権利、労働基本権を保障しています。
  • 生存権…憲法第25条が保障しています。健康で文化的な最低限度の生活を営む権利。保障のため、生活保障制度を整備。少子高齢化社会到来で年金制度の整備の確立が急務です。2000年に、介護保険制度開始。

人間らしい生活を実質的に保障する社会権の中心となる権利を憲法で保障しています。
➊憲法第25条1項…すべての国民に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利である生存権を保障しています。
➋憲法第25条2項…国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない
と定め、国民の生活水準を豊かにすることを、国に義務づけています。

■ 社会権の歴史
20世紀はじめ、第一次世界大戦後のドイツで、社会権を保障するワイマール憲法が制定されました。この歴史を土台に、日本国憲法は国民が人間として豊かに生きるための諸条件の確保を国に要求する権利として、社会権の保障を定めました。
  • 教育を受ける権利…能力に応じて、等しく教育を受ける権利。保障のために義務教育を無償に。
  • 勤労の権利と労働基本権…働く人たちのために認められた権利

■ 勤労の権利と労働基本権について詳しく

  • 勤労の権利…働く機会を国に求める権利。
  • 労働基本権(労働三権)団結権(労働者が労働組合を作る権利)、団体交渉権(労働条件の改善を求めて使用者と交渉する権利)、団体行動権(要求実現のためにストライキなどをする権利)の3つ。

労働者の権利

  • 労働者と企業の関係…労働者は労働力と商品として提供し、企業から賃金を受けとる。企業の方が強い立場にあるため、労働者は団結して賃金・労働時間などの労働条件を交渉する。
  • 労働者の権利…労働組合を結成し、労働条件の改善を企業に要求するようになる。日本では労働三法(労働基準法・労働組合法・労働関係調整法)を制定。
  • 労働条件の改善…日本の労働時間はしだいに短くなったが、残業時間は先進工業国の中でも多い。仕事と生活を調和させるワークライフバランスの必要。
  • 労働災害…生産現場での事故、事務作業の機械化によるストレス、労働者の過労死・自殺などが問題となっている。

■ 労働基本権(労働三権)
憲法第28条

  • 団結権…労働者が賃金や労働時間その他の労働条件を改善するために、団結して労働組合をつくる権利です。
  • 団体交渉権…労働組合が使用者と交渉する権利です。
  • 団体行動権…労働者と使用者の交渉の結果が不満なときや決められた労働条件が悪化したときなどには、自分たちの主張を通すために、団結してストライキなどの争議行為を行う権利です。

■ 働きやすい職場を築くために
古い労働のあり方は、同じ企業で定年を迎えるまで勤め上げる終身雇用や勤めた年数により賃金が上昇する年功賃金があります。新しい労働のあり方として、能力主義、成果主義の賃金。転職する人が増える。

  • 雇用の形態…アルバイト・パート・派遣労働者・契約労働者などの非正規労働者が増加。経済情勢が悪くなると安易に契約を打ち切られることが多いです。職業訓練などのセーフティネットの整備が必要。
  • 外国人労働者…グローバル化・少子化とともに外国人労働者の存在が重要となる。
  • 労働者の生きがい…就職・仕事の面で不利な扱いを受けることが多い障がい者・高齢者・女性などが、仕事を通して社会に参加できる道を広げなければならない。

日本の産業のあり方が大きく変化する現代では、労働者の失業問題が深刻化しています。不景気などによる人員の削減で、若者の就職難も広がっています。国が勤労の権利をどう保障していくかは重要な問題です。また労働者自身にも、労働基本権をどう守っていくかが問われています。

■ 生存権を保障していくための制度

  1. 生活困窮者のために…病気や失業などで現実に生活に困っている 人々にとって、生存権は重要です。国は生活保護法という法律を定め、何らかの事情で生活困難になっている人々に対して、人間として最低限度の生活を保障しています。
  2. 人々の安定した生活のために…国は老齢年金や障害年金、健康保険などの社会保障制度を整えています。
  3. 少子高齢社会と生存権保障…日本は、世界にもまれなスピードで高齢社会に突入し、高齢者が不安なく自立した生活が送れるように年金・保険制度を改革することが、生存権保障の緊急の課題となっいます。その中で介護が必要な高齢者などを対象に介護保険制度が創設され、2000年から実施されています。

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