『高瀬舟』は、森鷗外による短編小説で、中学3年生の国語で取り扱われる重要教材のひとつです。
江戸時代の京都を舞台に、罪人を護送する役人・同心の視点を通して、「安楽死」「人間の苦しみ」「幸福とは何か」といった深いテーマが描かれています。
定期テストでは、登場人物の心情の変化・対比・語り手の考え方の揺れがよく問われます。この記事では、あらすじや主題だけでなく、テストに出やすい要点や予想問題をしっかり押さえておきましょう。
・庄兵衛の心情を場面ごとに読み取ろう。
高瀬舟の定期テスト対策予想問題
教科書の高瀬舟の「護送を命ぜられて、~どうも喜助のような心持ちにはなられそうにない。」の部分を読んで次の問いに答えなさい。
問1 「庄兵衛は不思議に思った」のは喜助のどんな様子を不思議に思ったのか。次から記号で二つ答えなさい。
ア 神妙だが権勢にこびていない様子
イ 絶対に逆らわない様子
ウ 空を見上げ月を仰ぐ様子
エ 相手に敬意をはらう様子
オ 晴れやかで目に輝きがある様子
問2 「目を当てられぬ気の毒な様子」と対照的な喜助の様子を表した部分を文中から十五字以内で書き抜きなさい。
問3 「そこ」が指す内容を文中から十五字で探し、始めと終わりの三字ずつを書きなさい。
問4 「疑懼」とはどんな疑懼か。文中から二つ書き抜きなさい。
問5 「この懸隔」は庄兵衛と喜助の心の、何の有無によって生まれたものか。文中から二字で書き抜きなさい。
問6 「係累がない」と同じ意味を表す言葉を文中から三字で書き抜きなさい。
高瀬舟の定期テスト対策予想問題の解答
問1 ア・オ
問2 遊山船にでも乗ったような顔
問3 自分の~暮らし
問4
・ふいとお役が御免になった
・大病にでもなったらどうしよう
問5 満足
問6 独り者
高瀬舟(森鷗外)の要点
あらすじ(簡単に)
江戸時代の京都、罪人を島流しにするための「高瀬舟」に乗せて護送する役目を担う同心(どうしん)・羽田庄兵衛が、ある夜、弟を殺した罪人・喜助を護送することになる。
だが、喜助は悲しむどころか、「今までで一番幸せだ」と語る。弟のために盗みを繰り返し、病苦で苦しむ弟を救うために殺したことを、自分の信念に基づいた「善いこと」だと考えていたのだ。
その話を聞いた庄兵衛は、心の中で「安楽死」や「生きることの意味」について深く考え、これまでの価値観が揺さぶられるのだった。
登場人物
羽田庄兵衛(はだ しょうべえ)
→ 罪人を護送する同心。喜助の語る生き方や死の考え方に触れ、自分の価値観が揺らぐ。
喜助(きすけ)
→ 弟を殺した罪人。苦しむ弟を楽にするために手を下し、「自分は幸せ」と語る。貧しい中で真面目に生きてきた。
主題(この作品が伝えるもの)
- 命の価値と安楽死という難しい問題
- 人の幸せとは何かという哲学的な問い
- 善悪は状況によって変わることがあるという相対的な考え方
心情の変化(庄兵衛の気持ち)
【冒頭】
→ 「弟を殺した罪人」に対して、冷静で事務的な立場。
【話を聞くうちに】
→ 喜助の語る「弟への愛」「幸福の価値観」に驚き、次第に引き込まれていく。
【終盤】
→ 自分が今まで信じていた常識(命の大切さ、罪の重さ)に疑問を持ち、「心の中に静かな波紋」が広がるような感覚を抱く。
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